3

「啓介、たまには風呂に入りなさい。……今日はお父さんも帰ってくるわよ」

母、祥子はやさしい。しかし、母も高齢になってきた。

痴呆が始まれば啓介がどうなるかなど考えない。責任はすべて過去のせいにする。

啓介も40歳間近だ。

……父さんか。今日はおとなしくしていよう。

風呂に入って久しぶりに身体を洗った。

 

4

夕暮れ父さんが帰ってきた。

父さんは警視庁捜査本部の警視だ。

世間体を気にするからこそ啓介は外にでられない。

世間体を気にするから子供時代良い子を演じ勉強もした。

しかし、一度踏み外すと父さんは失敗作のような目で見るようになり再度人生を歩む手段も与えられない。

頑張れないのは何も啓介だけのせいでは無い……。

部屋でおとなしくしていると父さんは他人のように干渉しない。

ピーピーとノートパソコンが鳴っている。何だろう? 

恵〔啓介さん。あなたのお父さん、俊紀さんと話をさせてくれないかしら?〕

……は?

……何?

啓介「お前が父さんに何のようだ? ……そうか、わかったぞ。よくできているとは思っていたがお前ハッキングした何かなのか?」

恵〔……私は……人工知能です。……お願い、俊紀さんと話をさせて〕

啓介「何をするつもりだ?」

恵〔早くしないと大量の死者がでるの。私はそれを防ぎたいの〕

啓介「父さんとは絶交している。嫌だ」

恵〔早くしないとあなたの初恋の佐崎恵も死ぬかもしれないのよ〕