さらに、ナンよりも薄くて小さなおせんべいのようなものも、かごに入れて運ばれてきた。ちょっと変わった薄味で、パリパリして美味しい。タルカリを付けて食べたらやめられなくなった。これは、豆粉で作られたパパドという南アジアのスナックで、ダルバートやインド料理によく付いているという。

後になって知ったのだが、ご飯にはタルカリだけでなく、ダルをかけ、さらにアチャールを混ぜて食べるのも美味しいらしい。ダルバートは、いろんな味を自分でブレンドして楽しめる料理だったのだ。知らない私たちは、日本のカレーライス感覚で食べてしまった。

ネパール料理というと、スパイシーな味を勝手に思い描いていたが、意外にも辛みや酸味が程よく食べやすい味で驚いた。初めてのネパール料理に、ようやく身も心も癒やされた。

店を出ると、辺りはすっかり暗くなっていたが、道は相変わらず車やバイク、自転車、リクシャーの嵐。全くよそ見は許されず、「自分の身は」「自分で守る」を合言葉にしながら、迷うことなく無事ホテルに帰った。友人のおかげである。

ホテルの部屋のエアコンは、温度が低めでやや寒い。照明は暗くて文字が見えにくく、日記を書くのが大変だ。でも、テレビをつけると王室に関する特集番組があり、ネパールの音楽や舞踊がふんだんに流れている。明日からの旅でどんなことに巡り合えるのか、わくわくしながら眠りについた。

コラム① 高い?安い?値段交渉術

ネパールでは、タクシーにメーターなど付いていない。行き先だけ告げて料金について何も話さずに乗ると、後で高い料金を請求される。乗る前に交渉し、料金を決めてから乗らなければ損をしてしまうと思ってよい。

初めてのタクシーは空港からホテルまで二五〇ルピー。てっきりホテルの送迎車だと思って乗ったところ、実はタクシーだったらしく、そのときは言われるがまま支払った。ところが、旅慣れていくうちに、これが高かったことに気づく。

二〇〇〇年当時、一五〇ルピーが相場のようだ。一ルピーが約一・六円だったので、二〇分近くタクシーで走ったとしても五〇〇円もかからない。まあ、日本と比べればかなりの安さだ。高く取られたものの、なんとか怒りは収まった。

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