第1章「風水家相」の世界

風水家相の世界へ導かれた父の経験

現在は風水家相に関する知識と建築に関する知識の両方に通じる風水家相士として、住宅や店舗、病院などの建築設計や、住まいから運気を上げるためのコンサルティングを行っています。

また、住宅展示場でお客様向けのセミナーや、商工会議所で経営者対象のセミナーを行うこともあります。その際、冒頭で「風水と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?」と尋ねてみると、皆さんの答えは、テレビでおなじみの風水師の名前や、「西に黄色いものを置くと運気が上がる」「黄色い財布」といったものです。

その知名度の高さに、メディアの力の大きさをつくづく感じます。先人の知恵の結晶である風水に新たな光を当て、一般に広く浸透させた功績は確かに大きいといえます。ただしその反面、メディアで扱いやすい風水、できるだけ簡単で、できるだけお手軽な万能開運法としての風水が作り上げられていきました。

以前私がテレビに出演した時、制作側から「玄関にクマのぬいぐるみを置いて金運が上がることにしてもらえませんか?」といったメチャクチャな要望を示されました。もちろんお断りしましたが、実際にはそういった事例が少なくないのです。

そんな風潮がある中で、私は少しでも多くの皆さんに正しい情報を届けたいと、ホームページ上で、風水家相に関する無料相談をお受けしています。

毎回、様々なご質問が電話やメールで寄せられてきます。「そこまで気にしなくて大丈夫ですよ」といった些細なことから、私も初めて聞くような開運法についての質問などもあり、巷には様々な情報が溢れ、何を信じたら良いのか分からない状態になっていると感じています。

本来、環境学である風水では、「大地の気を取り込む」ことを基本としています。

古事記にも書かれていますが、「イヤシロチ」と呼ばれるエネルギーの高い土地に住むことが一番の開運法となります。

その上に家相や風水インテリアを取り入れた家に暮らすというのが理想の形です。また、日本独自の家相についても誤って伝わっている情報が多くあるようです。代表的な例としては、玄関です。メディアで語られる家相では、「東南の玄関」は「吉相」とされていますが、誰にでも、どの家にでも当てはまる「吉相」というのは本来ありません。

家は周りの環境も考慮するべきですし、本当はそこで暮らす家族の運勢も知っておく必要があります。吉相の家とは、それらのバランスをとるための形や間取りでなければなりません。周辺環境や家族のデータを取り入れた細やかな配慮がなされなければ、本当に運気が上がる家づくりは実現しないのです。

また、風水家相を取り入れるにあたり、いつどの方位に引っ越したら良いのか?いつ家を建てるのか?と、時期をとても大切にします。こういった時期的なタイミングのことを「年回り」とか「方位転居」と言います。