④「会社と共生」―「天職」を見つける
会社と上手に付き合いながら、サラリーマンの特権をフル活用しよう。
◎社内営業サラリーマンにさよなら
右肩上がりの時代、「上司のおもりが上手な人」が評価された。顧客とのしごとより、「社内営業」をやっている人が評価されたのだ。よく気がつく人として、評価され、出世の階段を昇っていった。
右肩上がりの時代、上司の指示をきちんと守り、周囲に合わせていれば、将来を心配する必要はなかった。いい大学を卒業して、大企業に入れば、年功序列、終身雇用に守られながら、定年を迎え、まとまった退職金を手にして、あとは年金で悠々自適に暮らすことができる。住宅ローンを利用して家を買っておけば、最初は少々苦しくてもインフレで退職するころには値上がりして大きな資産になる。
グローバル化が進む中、これでは日本はつぶれてしまう。
今、日本は極めて厳しい状態になっている。
司馬遼太郎の著書「この国のかたち」(文芸春秋)によると、このような個を抑え込み、全体を活かそうとする思想が濃厚になるのは、江戸時代からという。真面目で従順であることが、最良の生き方とされた。日本では個性のことを「くせ」という、企業では個性の強い人を「くせ」のある人といい、人事考課で厳しい評価が下された。江戸時代の考え方が、つい最近まで、大企業で受け継がれてきたというわけだ。
多くの人を敵にすることになれるかもしれないが、早くこのような「会社依存症」から逃れたいと思った。ますます、キャリアアップと資産つくりに目を向けさせた。とはいえ、そのためには、わたしがサラリーマン(銀行員)でいることが必要だった。
解決策は「会社と共生」することだった。人の活躍の場は会社だけではない。家庭も社会もある。会社、家庭、社会に常に関わりながら、それぞれに目標を持ち、自分を向上させる。「会社と共生」するという考え方は、全国の支店を経験し、各地の自然と接しているうちに、次第に身についてきた。
銀行もつぶれる時代になった。大企業でも将来、大丈夫という保証はない。会社が生き残っても、そのために自分がリストラされることもある。従来のように個を抑え込み、会社に一生捧げるような気持では、資産もできないし能力もつかない。毎日が楽しくないのだ。
《少し距離を置くと、気持ちがラクになる》
自分の会社は大切な顧客と思って接する。会社とピッタリくっついた生き方ではなく、少し距離を置いてみよう。自分は家族会社のオーナー経営者であり「会社と共生」しているという自覚を持つ。常に危機感を持ってしごとにとりくんでいると、予想外の成果を得られることもあるわたしの場合、早期退職すると、次から次へと、いろいろなしごとが入ってきた。