Chapter 01 キャリアを「天職」にする

~経験を重ねることが人生戦略の第一歩~

7 「マルチステージ」に入る

「教育→しごと→引退」という「3ステージ」は、平均寿命が短い時代、古いものだ。寿命が延び、人生のステージを数多く経験する「マルチステージ」の時代に入ったのだ。

世界では、「100 年時代の人生戦略」「ライフシフト」リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット、東洋経済新報社、ロンドンビジネススクールの2名の教授により、「マルチステージ」が脚光を浴びている。

日本は男女とも長寿では世界のトップランナーだ。「マルチステージ」、なじみがない人が多いと思うが、人生100年時代に入り、極めて重要である。本書では、わたしが実践してきた経験から事例を挙げて説明しているが、簡単にポイントをまとめておこう。

1)与えられたしごとをやる「受け身の人生」ではなく、自らが積極的に人生を選択して、いろいろなステージにチャレンジする。複数のキャリアを持ち、多様な人生を経験する。やがてキャリアは「天職」になり、「自己実現」や「生涯現役」につながる。

2)次から次に新しいキャリアを経験して、ステージを変えたり、ステージを増やしたり、ボランティア的なことや地域活動なこともやる、ときには、自分探しの期間も設ける。

3)「マルチステージ」、有形資産に加えて、次の3つの無形資産が重要になる。

①生産性資産(スキルや知識等、しごとの生産性を高め、所得とキャリアを向上させる資産)

②活力資産(肉体的・精神的な健康と幸福のこと、友人や家族との良好な関係をつくる)

③変身資産(多様性に富んだ人的ネットワーク、新しい経験に開かれた姿勢を持っている)

国連の幸福度調査によると、直近、日本、「人生選択の自由さ」77位、「寛大さ」148位、極めて低位にある。特に、「マルチステージ」では、③変身資産がポイントになる。