「思いがかなう?」しろうさんは、なんとなく、その石をひろって、ポケットに入れ、家に帰りました。「ようし、始めるぞ」いつものように、つけものを作ろうとすると、どこからか、声が聞こえてきます。
「早く、早く~」「よっ、待ってました!」どうやら、話をしているのは、つけものたちでした。「こんどは、おまえたちが、しゃべるのか」おどろいていると、「いいから、早く」「それを、おいてちょうだい」つけものたちが、つぎつぎにいいました。
「なんのことだ?」 首をかしげると、「それよ、ポケットの中」つけものたちが、そういうので、しろうさんは、ポケットに手を入れ、さっき、もらった小石を取り出しました。
そして、「これか?」そう聞くと、「そうよ、早く、早く」「急いでよ~」つけものたちがあんまり急(せ)かすので、一番大きなつけもの石の上に、そっと、小石をおきました。
「やっぱり、これだねぇ」「これを、待っていたのよ」「きくぅ」つけものたちのうれしそうな声が、あたりにひびきわたりました。
「なんだかわからないけれど、まあいいか」しろうさんは、うれしそうなつけものたちを見ていると、自分までうれしくなりました。それからというもの、しろうさんのつけもの屋さんは大いそがし。
近ごろ、つけものに、見向きもしなかった近所の人が、つけものを食べにやってきます。そして、「これは、うまい」「こんなにおいしいつけものは、初めてだ」ポリポリ、カリカリ止まりません。
「わっはっは」しろうさんは、近所で、人気のつけもの屋さんになり、大よろこびです。ひょうばんは、どんどん広まっていき、町じゅうの人が、つけものを食べにやってきます。
そして、「これは、うまい」「こんなにおいしいつけものは、初めてかも」やっぱり、ポリポリ、カリカリ止まりません。「わっはっは、わっはっは」しろうさんは、町で、人気のつけもの屋さんになり、ますます大よろこびです。