タメル地区へ到着
空港からのロデオ体験をすること約二〇分。ホテル到着は午後四時前だった。玄関には大きなクリスマスツリーのイルミネーションがきれいに飾ってあり、素焼きの置物や花の鉢植えも並んでいる。フロントで手続きを済ませた後、階段を上って二階の部屋に案内された。
部屋に入ると、ベッドと固そうな椅子、テーブル。家具はそれだけのガラーンとした空間だった。しかし、白い壁に茶系とベージュの二色のストライプ柄のカーテンは目に優しく、思いのほか気分は落ち着く。フロントでもらったオレンジジュースの色がやけに鮮やかで、ひときわ目立つ。
照明のスイッチは、なんと部屋の外にある。つけたり消したりする操作に、いちいち部屋を出なければならない。エアコンはかなり古そうに見える。道路事情に次いで、ショックの色は隠せない。クローゼットを開けてみると、ハンガーの違いに驚く。日本のハンガーは、S字のようなフックが付いているが、ネパールのハンガーは異なっていた。
クローゼットのバーにすでに小さな穴のあるフックが付いており、ハンガーの短い棒状の柄をその穴に着脱する仕組みなのだ。これは、このホテルだけなのか、ネパールのハンガーがこういうものなのか。二人では話すものの、ホテルの人に質問できるほどの語学力もなく、未だに謎のままである。
ひと通り荷物整理が済んだところで、お世話になる旅行代理店に電話をかけるが、回線が混み合っているのか通じない。まだ外は明るいので、直接訪ねてみることにした。
ここはカトマンズの中心タメル地区。しかし、道路は狭く、何度も自動車にひかれそうになる。
「自分の身は」
「自分で守る」
友人と交互につぶやきながら歩いた。