この二百名の忍者集団は、下忍四人と中忍一人を一班として、班長に中忍を置いていた。
四班を一組として組の隊長には上忍がなった。それぞれの組には、任務が決まっていた。
例えば、臨太郎が率いる臨組は、破壊任務。主に火器を使って、破壊活動をする。また他の組では、兵衛を中心として諜報活動をする組(兵組)などがあった。
班の名前は、順番にイロハ……と続き、組の名前は、組の隊長の名前一文字を取った。
主に破壊や暗殺をする組は、隠忍 (いんにん)と呼ばれ、普段は姿を隠し、闇夜を得意とする。一方、諜報や離間、謀略を得意とする忍者は、陽忍 (ようにん)と呼ばれ、姿を公にさらしながら計略によって目的を遂げる部隊であった。
上忍は、九人いて、それぞれが四班(二十人)を率いる。残りの二十人は、四代目頭目の直属部隊であった。
四代目の意向により、九人の上忍は若返りが図られ、その半数が二十代であった。
上忍九人の名前や特技、年齢はかくの如きである。
(隠忍 臨太郎=破壊・火遁・鉄砲・女装、二十一歳。闘次郎=破壊・水遁・鉄拳、二十二歳。者太郎(しゃたろう)=暗殺・土遁・吹矢、三十三歳。陣太郎(じんたろう)=破壊・木遁・目つぶし、五十二歳。在次郎(ざいじろう)=暗殺・金遁・鉄刀、六十歳)
(陽忍 兵衛=諜報・武士・忍び竹、二十三歳。皆衛門(かいえもん)=離間・虚無僧(こむそう)・五社の術、二十五歳。列衛門=謀略・猿楽 (さるがく)・かすがい・鎌、二十八歳。前衛門(ぜんえもん)=諜報・商人・キセル、四十一歳)
出発する忍者集団の中にいた尋一は、行軍しながら、風魔の里を振り返った。
─今回の任務は、沼田城周辺の敵を一掃するだけの簡単な任務だ。冬になる前に帰って来られるだろう。それまで、杏に会えないけど、忍者の務めだから仕方がない。