1.摂食障害との人生

まずは、摂食障害について、みなさんにお話ししてみたい。

摂食障害とは、食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常が続き、体重や体型のとらえ方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気のこと。それがいったいどんな病気なのか聞いたこともない、想像もつかない、という人たちもまだ多いかもしれない。

でもその一方で、近年、この病気で苦しむ人の数は増加の一途を辿っていて、いったん片足を突っ込んでしまうと泥沼化してしまい、何年も、下手すると何十年も抜け出せずにもがき苦しむことになってしまう。

十二歳からおよそ二十六年という長い歳月、わたしはこの病気と隣り合わせに生きてきた。ここ一番の頑張り時という時に足を引っ張り、わたしを苦しめる厄介者であり、と同時に、心と体のバランスをとって日々を生き抜くために必ず隣にいてくれた伴走者でもあったと言えるだろう。

そんな摂食障害について、そしてわたしがどんなふうに摂食障害とこれまで付き合ってきたのか、お話ししてみたい。

1-1:摂食障害のきっかけ

あれは、小学校六年生の冬だった。中学受験で少しやつれていたのかある人に、

「あれ、痩せた? 足、細いね」って言われた。

その子は学年でも人気者で、周りにたくさん子分のような子たちを引き連れていた。そんな子から声をかけてもらえて、しかも、足が細いと褒められた。

「あ、ありがとう」

そういうのが精いっぱいだったけれど、内心、天にも昇るようなそんな気持ちで、痩せたら認めてもらえるかな? と勘違いをしてしまったのだ。そこからわたしの摂食障害が始まってしまう。