長い夢

「おお……破破破破破破破破」

「光点張福、反反反」

「ぬおお! 破破破破破破……!」

「光点張福!反反反反反反反」

 

英良の光が武人を凌いできた。

「ぬうお……」

武人は暫く固まったまま動かなくなった。その時、別の何かの声が聞こえた。

「……広目天で御座います。この戦いは、貴方様の勝ちで御座います。お止め下さい」その何か(二人目の武人)が英良へ語り掛けてきた。

「英良さん……毘沙門天に何か言葉を掛けて下さい。急いで下さい! 毘沙門天が元に戻らなくなってしまいます……」

突然、美姫の声が英良に響いた。戦いが終わり安堵していた英良は、その時初めて対峙した武人が毘沙門天であることに気が付いた。まずい。毘沙門天が歪んで縮んできている。周りの景色全体が歪んでいる。

「毘沙門天……」

英良は声を上げたが、変な声だった。自分の声ではないような、自分が喋っていないような声に聞こえた。英良は二度、三度と声を掛けると段々、自分の声のように聞こえてきた。

「我の身体に強き光陣(こうじん)が流れ込む」

毘沙門天は両手を地につけた。毘沙門天の表情が柔和に変わっていた。毘沙門天との対峙中には強い風が吹いていたが、今は止んでいた。