第二章 ピカデリーホテル
ナースは翔の太い首と厚い胸、太い腕を見て目を丸くしながら新しい患者用上着を優しく着せ「何か運動してたの?」と聞いてきた。翔はラグビーをしていると応えるとナースは「ポジションは?」と微笑みながら聞き、「スタンドオフ」と応えた。
ナースは「オールブラックスのボーデン・バレットと同じね!」と言って「ハンサムだしこんな怪我を見たらガーフレンドが泣くわよ!」と言いながら左手を首から吊る作業をしていた。
翔が「ガールフレンドは居ません!」と少し大きい声で応えると、ナースは笑ってから「じゃあ私が立候補しようかな……」と呟やいた。翔はドキッとして赤くなった時、「冗談よ!!」と笑いながら「耳も肩も当分水を被る事の無いように十分注意して下さい。此処に有る痛み止めと化膿止めは、毎日朝必ず飲む事、今日の分は其処にあるボトルで今飲んでおきなさい。水は出来るだけ取るようにしてね!」と言って汗で汚れた上着を持って出入口の方へ歩いて行った。
翔は新しい上着を着ると益々すっきりし、腹が空いたと感じながらやはり英国はラグビーの国だな……と思いベッドに横になった。