第二章 招魂と入れ替わり
風がさわさわと木漏れ日を受けながら静かに流れていく。タマは話をなおも続ける、
「俺は彼の卑弥呼様の御霊もここにお納めさせて戴き、致高様共々お守りする事にした」
「ふぅーーん、そうなんだ」
私はお守り猫のタマをじぃ~とみつめる。そして凄くいい事が閃いた。
「ところで卑弥呼様の御霊も入っているなら、……あの卑弥呼様だよ! 水野致高様の御霊なんか呼び出して、復活とまではいかなくても、なんか少しでも楽しさを経験させてあげられないものかしら? 何て言ってもまだ十五歳だったんでしょ、気の毒過ぎるよ。同じ水野姓だから気になるし何か出来ないものかと思ってしまう」
しみじみと私は言うのでした。するとタマが思わぬ事を口走る。
「確かにお前は末裔だ」
「えぇーっ、本当!」
「随分遠いがな……今の話、出来なくもないが、それなりの器がいる」
「いゃーー本当、ホントに出来るのぉぉー」
興奮しすぎて声が上ずっちゃう。
「えぇーあと、器って? 何よ」
「人間の体だよ、それも正当な血筋の」
ちょっと怖いことを言うタマ。私は気後れしながらもなおも聞いてみる。
「水野家の本流末裔の体ってこと? 死に絶えていたら? 遠いらしいけど我が家も末裔でしょ、兄なんかどう、四つ年上だけど? 女でもいいなら私ではダメ?」
「勿論女はダメだ、致高様は男だぞ……三沢町に居を構えている郷土史研究家の水野家が本流だ。あそこには丁度中学三年生が居るぞ」
それを聞いて私は気分が一気に下がった。