【前回の記事を読む】医学界に出身大学の絆あり?進学したい大学医学部の賢い選び方

2 医学の分かれ道

③大学の医学部はどの大学も同じ?

ただし最先端の研究に従事する場合、魅力あふれる研究センターを持っていること、そして大きな研究費をもっている、という点では、歴史ある大学の強みがあります。私自身も北海道大で大きな研究拠点の設立に奔走し、かなり苦労しました。でもその結果を高く評価していただきました。同じ北海道大出身の教員に負けないくらいの、愛情を持って臨んだつもりです。

戦後に設置された国立新設大学では、大学が町のはずれに位置していることがほとんどです。町の中心にある医師会の医療機関から、あらたに大学病院が近隣にできると、いろいろと不都合な点もあるとの意見が強かったそうです。

その結果、新設大学は町の中心から離れた郊外に設置されました。学生にとっては町の郊外に大学があるのは、寂しい面もあるかもしれません。でもじっくり腰をいれて勉強できる、という利点も大きいのではないでしょうか。

ここで以前に新設大学の病院を伺った時のことを紹介しましょう。私の親族の一人は、とある新設医大の教授に着任し、定年までの期間、単身赴任をしました。その大学の職員寮に住みました。そこは大学に隣接していて、通勤には便利なものの、食事や買い物にはかなり不便をしていました。

学生や職員の一部の人たちは、不便さを理由に大学とは離れた町の中心に住んで、郊外の大学まで通っていたとも伺っています。別の新設大学では、もともとあまり大きな町ではなかったのですが、大学医学部が設置され、大学病院が稼働しだすと、町の中心が大学病院の方に移動して、にぎやかになってきた、と自慢げに語って下さる教員もおられました。

地方の大学では地域枠が設定されています。この地域枠で入学すると、確かに入学難易度は低く、入学しやすく設定されています。その代わりに、卒業後一定期間(多くは9年間)その地域の遠隔地の病院で勤務することが求められます。特にへき地の深刻な医師不足を反映して、都会から離れた大学ほど地域枠が大きいようです。

また全国的な医師不足を反映して、この地域枠は次第に大きくなりつつあるようです。私個人としてはこの期間は、長い人生の上ではさほど長いとは思われず、地域医療の貢献できる、良い経験になると考えます。実際にそのような地方で医療に当たった先生方に伺うと、いろいろな仕事をどしどし任されて、やりがいがあり貴重な勉強ができた、と多くの方は語ってくれています。