絆
ああ うれしい
夫だった君よ
こんなにうれしい日はなかったよ
普段は部屋の外からの
「おはようございます
元気でやっております
今日も忙しいのでごめんなさい
行ってきまーす」だのに
その夜は仏壇の前に座り
じっくりと今日の出来事を話す
夫が亡くなって十五年も過ぎたころ
一枚の案内状が来た
「夫君が一番かわいがっていた後輩が
今年で退職します
ついては 夫君の代わりに奥さんがお祝いの会に来てください」
驚き! おどろき! 信じられぬ!
娘たちが買ったワインを抱え
飛び跳ねるように向かった
そこには夫のかつての仲間たちの顔 顔 顔
仲間が全部いた
もう涙で前が見えない
そんないいことが起きるんだね
命なくとも仲間の絆は続いているよ
時が過ぎてもみんな君と一緒にいるよ
長い時間 君に話し続けた