「さて草の種類だが、この試験草地には基本的に白クローバーとイネ科牧草のチモシーが播種されている」
「しかし、この二種類しかないと思ったら、それは大間違いだ」
「実際に見てみよう。まず広葉雑草がある。セイヨウタンポポとエゾノギシギシだ」
「イネ科牧草も一見チモシーしかないように見える。しかし雑草が隠れている」
早川は、株元が紫色のイネ科草を一本手に取った。
「葉っぱだけ見ればチモシーによく似ている。しかし、これは雑草だ。シバムギと言う」
「手に取って、茎をもんでにおいをかいでみろ。変なにおいがするはずだ」
生徒たちはそれぞれ紫色の茎を探して、茎をもんでみた。芝生を刈ったあとのようなにおいがより強く香る。というよりも、カメムシをつぶしたようなにおいが、やや薄く感じられるといったところが正確かもしれない。