【前回の記事を読む】「UNESCO」の意味を知ってがっかり?人類の未来に必要な教育との齟齬とは

一 大自然

この人間形成の理想像を実現していくためには、日本国憲法における立法(国会)・司法(裁判所)・行政(内閣)の三権分立を、立法(国会)・司法(裁判所)・教育(文部科学省)・行政(内閣)の四権分立(図1参照)に組み替えていくことが求められます。

図1 四権分立

立法・司法・行政の3点で人類の権利義務を堅持しつつ、教育の部門で、人類の目指して進むべき「精神的いのち」の指標を提示し、人類を大自然の意図する方向に導いていく体制が求められているのではないでしょうか。

三権分立だけでは、人類の向かった進むべき価値観が曖昧になり、ものの豊かさや単なる利便性が最高の価値観となってしまうきらいがあります。大自然が設えた「人類の求めて進むべき価値観」とは、もっともっと高位の精神的いのちのありようではないでしょうか。ものの豊かさや利便性は、魂の豊かさへの、言わば階段のようなものではないでしょうか。

人類がこの希望の星、つまり目指すべき当為の世界を見失ったとき、大自然の申し子人間は進めば進むほどに熾烈なせめぎ合いを演じてしまうものなのかもしれません。

大自然の申し子人間は、物の豊かさや利便性のためにのみ学び、生かされているのではありません。共々に支え合いながら、“withyou,forall”の境地を目指す歩みのためにこそ学び・生かされているのです。そのためにはどうしても、人間の向かって進むべき指標を確認し合う必要があります。そのための導きの省庁「文部科学省」がクローズアップされなければならないということです。