CHAPTER1 胃腸を制すものが健康を制す

胃腸が悲鳴を上げる5大原因は「ピロリ菌」「暴飲暴食」「自律神経のバランスの乱れ」「加齢」「ストレス」

原因4:加齢胃腸の機能低下で胃がもたれる

年齢が若いときは水分不足だったり、不規則な生活、食べるものの問題だったりすることが多く、緩下剤といって便を柔らかくする薬を使ったり、場合によっては刺激性下剤を使うことによってコントロールすることができます。

一方で年齢が上がってくると純粋に便が硬い便秘ではなくて、直腸の機能が低下し、肛門括約筋を弛緩させることが非常に難しくて、なかなかいいタイミングで便が出ないという方がいらっしゃいます。

便秘(・・)では(・・)ない(・・)()のイメージはそれぞれに異なっていると思いますが、「10~20代の頃のように朝起きて少し水分や食事を摂って、その後おなかがしっかり動いて、いい形の便が出る、そしておなかもすっきりする」、それを良い便通のスタンダードと考えていて、そうなりたいと皆さんが意識していると思います。

少し年齢が上がってくると筋力や靭帯の張りが変化するため、なかなかそのスタンダードを目指すのは難しくなってきます。そのため実際の患者さんの状態を伺ってどうやって排便の習慣をつくっているのか、把握していきます。

患者さんのなかには便を出すため強くいきむことを繰り返し、トイレの中に20分も30分もいたり、何度も何度もトイレに行ったり、ひどくなると1日中ほとんどトイレにいたという方もいます。しかしそのようにトイレに入ってずっといきみ続けると、かえって肛門括約筋が弛緩しないために便が出にくくなってしまいます。

逆に出しやすくするように直腸機能をコントロールするような指導をすることで便通が良くなる人もいます。あまりいきみすぎると腸の粘膜が薄くなっている方や大腸憩室のある方などでは物理的に腸に穴があいて穿孔という状態になりかねません。

加齢のもうひとつの変化として胃の入り口の筋肉が緩みやすくなる人もいます。食事中でなくても胃酸が上がりやすく、胸やけをしやすくなります。

また、高齢の方に多いのは、直腸や肛門付近の筋力の感覚が弱まっているために起こる便秘です。年齢とともに体の動きと同様に、ありとあらゆる筋肉に衰えが出ます。

本来、肛門は便が漏れないためにその周辺の筋肉は適度に緊張している状態ですが、便が腸にたまり、直腸から肛門へと通過する際に、直腸の収縮と肛門括約筋を緩めることで、スムーズに排便ができます。ところがこの括約筋というのは緊張させることより、緩めることのほうが案外難しいのです。排便反応が起こっても肛門をうまく緩めることができず、このタイミングがずれてしまうことが高齢者にはよくあります。

また排便反応自体起こらないこともあります。こうして直腸に便が停滞してしまって便秘になります。