【前回の記事を読む】“若者”と働いて気付いた…「働くこと」について考える必要性

第2章 適応障害についての主な説明

第1章の若者のように、職場に行くのがつらく憂うつな気分になり、緊張や不安、不眠、食欲不振、そして出勤時の腹痛や下痢、めまい、吐き気その他もろもろの症状を呈しメンタルクリニックを訪れると、「抑うつ障害」もしくは「適応障害」という病名(障害名)をいただきます。

これもどうも微妙な話で、「抑うつ障害」とすると、抑うつ的であることは明らかですが、どうも一般的なうつ状態と違い、仕事という特定できるストレスがあり、まず身体症状を訴えます。

「抑うつ障害」にも身体症状の訴えはあり、体が重い、だるい、胸が苦しい、頭が痛いなどが多いですが、彼らは腹痛や下痢や吐き気やめまいがあって仕事に行けない、いわば機能的な訴えをします。そのためか「適応障害」と診断されることも多いと思います。

では具体的な話に入る前に、「適応障害」はどのように説明されているか、主なものを少し見てみましょう。

▽厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」

精神的な病気で、これはどういうものだろうと思った時、厚生労働省のネットを開いてみるかもしれません。厚生労働省には「みんなのメンタルヘルス」というサイトがあり(https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/)その中に「こころの病気を知る」というページがあります。

現在は12の病名(障害名)について説明があります(依存症、うつ病、強迫性障害、摂食障害、双極性障害(躁うつ病)、てんかん、統合失調症、認知症、パーソナリティ障害、発達障害、パニック障害・不安障害、PTSD)。

昨年までは、解離性障害、睡眠障害、適応障害も載っていましたが、いろいろ検討された結果削除されたのだと思います。生きている人間や社会のことなので、当然ながら病名(障害名)の概念や規定も流動的です。参考までに昨年までの適応障害の説明を載せさせていただくと、次のように書かれていました。

適応障害

適応障害は、ある特定の状況や出来事が、その人にとってとてもつらく耐え難く感じられ、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過度に心配したり、神経が過敏になったりします。

また、無断欠勤や無謀な運転、喧嘩、物を壊すなどの行動面の症状がみられることもあります。ストレスとなる状況や出来事がはっきりしているので、その原因から離れると、症状は次第に改善します。でもストレス因から離れられない、取り除けない状況では、症状が慢性化することもあります。

削除された経緯はわかりませんが、このように理解されていたということになります。