②医学部だけが医学の道ではない

この医学の道を選択する場合には、そのほとんどが医学部入学し、卒業して医師の資格を取ることが求められます。もちろん医学部以外の道を選択して、医学専門の道を進むことも可能です。看護師や、医療を専門とする技術系の職も多数あります。

看護師については、説明するまでもないでしょう。

放射線技師は、放射線を主に扱うCT、MRIや核医学等の画像診断、さらには放射線治療などの装置を使って、患者さんのケアを現場で行う作業師を指します。臨床検査技師は、血液検査をはじめ、種々の臨床検査や、超音波検査等、放射線以外の種々の臨床検査を担当する作業師です。コロナ禍の中で、PCR検査などの遺伝子検査などを担当する職員としても、注目されています。また理学療法士は、運動機能の低下した患者さんのリハビリテーションや、電気刺激やマッサージなどの物理的手段を加える作業を行う専門職を指します。

最近ではそのような医療従事者の仕事が、かなり緩和され、広がりを持ちつつあります。まだまだ医師の仕事内容に比べると、かなりの制限を伴いますが、今後医師の業務のかなりの部分を肩代わりできるようになることが予想されます。

さらには私達医師の周囲の医療の現場には、薬学や理工学の専門家がいて、医学の進歩を支え、医療の現場で的確な指示を与えてくれる、専門家の存在も大きいです。

特に私の専門としている画像診断分野では、彼らの存在がなくては、業務が進みません。いろいろな種類の診断用の薬剤を用いて、患者さんの体の中を画像で調べたり、治療を行った場合の効果を見たり、などを行っています。用いる薬剤を作ったり、品質管理をしたりするうえで、薬学の専門家の協力が不可欠です。

他方、画像診断を行うための、大型の撮影装置を用います。また治療の現場でもいろいろな種類の装置を用います。その際には、用いる装置の専門の企業の方々の意見を交えながら、臨床の場に利用します。彼らの存在がないと、機器を円滑に操作できません。また彼らとは医療現場での課題をみつけ、それを解決していく共同体制が必須です。

このように医療に関係ある専門職や、薬学、理工学の幅広い分野の力が、医療の現場で求められていることを強調しておきます。