枯れ木 1

家の前の小川の縁に立つ大きな枯れ木

君はもうすでに枯れているよ

幹はすっかり灰色だし

葉っぱの一枚もついてないじゃないか

それなのになんで

さも生きてるかのごとく

えらそうに(そび)え立ってるんだい

君が自分の葉っぱと思っている

その緑のくねくねとしたものは

君にまとわりついているつたの葉だよ

それならそれで自分が聳え立つために

持ちつ持たれつだよなんて思ってるかもしれないけど

ひょっとしたらね

その葉が君を枯らしたのかもしれないよ

誰かに依存しないと上に上れないつたが

君にまとわりつきながら

君に必要な栄養を吸い取ったのかもしれないよ

思い出したかい

君は少し前まで青々した葉っぱを

わさわさ風にそよがせて小鳥たちは木の実を食べに来て

空にも届きそうな大きな木だったんだよ

今じゃ飛び疲れたサギの止まり木だよ

もう今さら嘆いてもどうにもならないし

つただって必死だからはがれないよ

なんかさあ

過去の栄光にすがりついている父にそっくりで

哀れに思えるんだけど

そこに聳え立ってくれているだけで

明日も頑張ってみようと

私は思えるよ