雲が流れて

はあ〜忙しかったー!

あれほどぶら下がっていたブドウ

今はなぁんにもない

本当に完売したのだろうか

一年かけたブドウが一か月でなくなった

目をぱちぱちさせて見る

九月一日 アーユウレディ

イエッサー レッツゴーゴー!

今年は特に出来が良い

プチプチに完熟したブドウに心が弾む

収穫の手が踊っている

だんだんパニック 頭も体も混乱 

あれもこれも混ぜながら必死だった

ほら 父がお前なんかにできるもんかと

高をくくって見てるよ しっかりしろ

意地と根性がフル回転

助っ人の友情がカンフル剤

次々と収穫していくブドウ

その隙間を風が通り過ぎる

最後は風だけが棚を通り過ぎていく

汗の中

残暑は盛り上がり沈んで

夜風が心地よくなって

空が高くなり雲が流れていった

いつの間にか三十日が過ぎた

ブドウ畑を残した親を恨めしく思い

この充実感を残してくれたことに感謝をし

また来年も頑張ろうかな〜

※本記事は、2022年9月刊行の書籍『村においでなさい』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。