「その通り。それから、エーテル体も脱ぎ去って、アストラル体が一番外側の体になるんだよ。順調にそこまで来て、“成仏”したと言えるんだな」

「ふん、なるほどね。ちょーじさんが言っていたけど、成仏できなくて、4次元のあの世と物質界のこの世との間のエーテル界に落ち込んでいる霊が幽霊なのよね」

清美には、ちょーじに止められなかったら同様の身になっていたのだという感慨があった。

「仏事で四十九日というものがあるだろう。七日毎にお経を上げてもらうんだけど、仏教では人が亡くなるとあの世で七日毎に極楽浄土へ行けるかの裁判が行われ、その最後の判決の日が49日目となると考えられているんだ。

これは、肉体が滅んだ後、エーテル体(3次元)に意識が移った霊が、円満にアストラル界(4次元)に移行できるように応援するための行事とも取れるね」

「ちょーじさんやあなたは、どうしてエーテル界にいるの?」

「僕たちは4次元のアストラル界に移行できるんだけど、敢えて3次元のエーテル界にとどまって、善行を積むという修行をしているんだ」

「へー、修行なんだ」

ちょーじに助けてもらった清美は、結構有り難い霊達もいるんだなと感心した。タケルは話を戻して、

「だからね、自殺しても楽にならないんだ。この世とあの世の間のエーテル界(3次元)で死の苦しみを味わい続けなければならなくなるんだよ。分かった? 幽霊になりたいの? 苦しいよ」

「うん、そうなのね。死んでも今の苦しみから逃れられるわけじゃないのね。タケルさん達がいるところには幽霊がいるのよね」

「いるよ。でも我々とエーテル体(3次元)を構成している質量の精妙さが違うから、お互い無関係に生きているよ。次元が違うという言い方もするんだけど、低い霊から高い霊は見えないんだ。逆に、我々から低次元の彼らは見えるんだけどね」

それを聞いて清美は羨ましいと思った。

「それって、便利が良いわね。質量の粗い悪人とは接しなくて良いわけよね。この物質界は玉石混交だもの。良い人が悪い人に苦しめられる場所よね。ひょっとして、この物質界って、本当は地獄なんじゃない? 善良な人にとっては。やっぱり、最善は生まれ出でぬことなんだわ」

清美は、今の自分の置かれている状態に思いを至し、涙を浮かべた。

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