タケル──目に見えない3つの体
「清美さんだね。僕、タケルと言います」
「タケル? あなた達、幽霊なの?」
清美は、一難去ってまた一難といった気分だ。
「幽霊!? そんな低級霊と一緒にしないで欲しいな」
「そしたら、高級霊?」
「いやいや、高級までは行かないけど、そういう括くくりで言うなら中級霊かな」
「あなた達が憑いていて、私にとって何か悪いことはないの?」
「別にないよ。低級霊なら気の巡りが悪くなったりして腫瘍を初め色々障害が出てくるけど、僕たちはそんなヘマはしないよ」
タケルは清美に簡単に霊体の説明をした。
「人間の体は、4つの体で出来ているんだ。肉体(3次元)、エーテル体(3次元)、アストラル体(4次元)、メンタル体(5次元)の4つだよ。君達は、肉体を持つと同時に目に見えない体を3つも持っているんだ。それぞれに特有の機能があって、エーテル体(幽複体)は、肉体視力では見えないが、3次元に属していて気の流れや感覚的機能を司っているんだ。
君達が住んでいる世界を3次元って言うけど、3次元の意味は分かっているかい」
「ええ知っているわよ、縦・横・高さで出来ている世界よ。2次元は縦と横の世界。平面よね。アニメなんか2次元の世界って言うわ」
「正解。よく知っているね。この分だと説明を続けても大丈夫そうだな。では、幽霊の一番外側の体は何でしょう」
「それは、簡単よ。幽複体、エーテル体とも言うのよね。だから、肉体視力では見えないけれど、3次元の存在なんだ」
「その通り。エーテル体は分かっているようなので、次の4次元の体、アストラル体についてお話しするね。アストラル体は感情を司るから〝感情体〟とも呼ばれているんだよ。さて、4次元ってどんな世界?」
清美は、ちょっと眉を曇らせながら、
「4次元はね、ええっと、時間が加わるのよ。確かそうだったと思う」
と、弱々しく答えた。
「おおっ、これも正解。縦・横・高さ・時間でできた世界だね。でも、どういう世界だか、想像がつくかい?」
「それがよく分からないの。時間が一辺だなんて、どんな世界かなぁ」
「4次元のアストラル界ではね、時間を超えた世界に移動できるんだよ。例えば、古代史に出てくる卑弥呼の生きていた時代と空間に移動しようと思えば出来る世界なんだ」
「へえー、タイムトリップができるんだ!」
清美の眼が輝いた。