誤嚥とは、本来、食道から胃へ送られるべき食物や水が誤って気管に入ることである。誤嚥が起きると患者に苦痛を与えるだけでなく、誤嚥物により気管や肺に細菌が繁殖して肺炎を起こしたり、窒息することで死に至る場合もある。
嚥下障害は大きく2つに分けられ「機能的嚥下障害」と「器質的嚥下障害」で、「機能的嚥下障害」は嚥下に関わる気管が適切に機能しない場合で、「器質的嚥下障害」は食物の通路に問題があって、食物の食道への通過が妨げられている場合である。
誤嚥を引き起こしやすい患者に対して、間接訓練としては食物を用いない基礎訓練と直接訓練としては食物を用いる接触訓練がある。誤嚥時の対処としてはよく観察し、以下の徴候がないかを確認する。
・食事中にむせる
・食事中に元気がなくなる
・咽頭内でブクブクという水泡音を発する
・声の質が変わっている
・痰の量が増えたり、激しい咳嗽と喘鳴が持続する窒息、誤嚥の既往があれば、誤嚥を起こす可能性が高いので、既往の有無を確認する。
窒息の予防としては、口腔内が乾燥した状態でないか、義歯の有無と義歯の適合具合を観察する。窒息しやすい食品には、餅、おにぎり、パン、魚介類、肉類などがあり、咀嚼が必要となる食材である。
窒息が起きた場合は、食べたものを掻き出す、吸引を行う、患者の頭部を下げ後ろから、手の付け根で両側の肩甲骨の中間辺りを強くたたく(背部叩打法)あるいは患者の頭部を下げた状態で、背後から上腹部(胸骨と臍のあいだ)を斜め上方向に圧迫し、異物を吐き出させる(ハイムリッヒ法)。窒息は危険状態なので、医師を呼ぶ(図表2)。