【前回の記事を読む】現役コンサルタントが悲嘆!現代日本人に不足している「3つの能力」とは?
自分で考える能力の欠如と天気予報の不思議
自分がまだ子供の頃、親から「3を聞いて10を出来る人になれ」と言われて育った。これは“自分で考えて仕事をしろ”と云う意味だと理解している。そして親は「10を云ったのに3しか出来ない人が多い」事を嘆き、「10を云って10をやってくれる人は御の字だ」とも言っていた。
昭和の中期、中卒の工員を雇用していた頃の苦労であった。この当時、仕事を指示する側にも問題があったので、今は流石に「10を云ったのに3しか出来ない人が多い」と云った事は少なくなったと思いたい。しかし、「3を聞いて10を出来る人」は今も少ないのではないだろうか。
伝えた事はできるが、伝えた事しかできない。そして自分で考えて仕事ができる人が減った様に感じる。少なくとも外国人との比較において、日本人は自分で考えて仕事に取り組む人が少ない様に感じる。工場等の作業現場ではQCや改善活動等を通じてそれなりに“自分で考える”事をしている所もあるが、工場現場以外の仕事においては良い話はあまり聞かない。
この“自分で考える”事をしない例として、TVの天気予報を見てみたい。最近のTVの天気予報では、明日の服装をアドバイスしてくる事が多くなってきている。「明日は長袖が必要です」とか、「明日は上着が必要です」等々。これを聞く度に、“大きなお世話”だと呟いている。
何時からTVの天気予報では服装を指定する様になったのだろうか? そして一体どれだけの人がこの情報を必要としているのだろうかと感じている。視聴者から需要があるから、この様な「明日の服装は……」と云った事を言うのだと思うが、もしそうだとしたら明日の服装も決められない人が日本には一定数存在すると云う事になる。
確かに我が家では、天気予報を殆ど見ない子供が明日の服装について相談してくる場合がある。また季節の変わり目や気温が大きく変わる日などでは、服装について家族内で会話する事はある。だが、TVの天気予報に明日の服装について意見を求めるのはどうなんだろうかと感じてしまう。それほど日本人は、自分で明日の服装も考える事ができなくなってきているのだろうか。
余談だが、私自身はカーナビもあまり活用しない。正確に言うと、参考情報としては活用するが、信頼して使う事は殆どない。最近はナビの性能も良くなってきたが、まだまだ間違った(自分が使おうとした道以外の)道を提案する事は頻繁にあるし、到着予定時間もあまり当てにならない。
あくまで情報の一つとして活用し、事前に行先をネット等の地図で確認した上で、自分が想定した道をナビが提案してくるかを確認するといった使い方をしている。しかし流石に初めてヨーロッパで車を借りた時にはナビを活用した。何分、事前に調べる事も殆どできなかったため、ナビに頼るしかなかった。