第2章 対策1 学校教育に対する処方箋

05 大学内での転部、または転校の許容

学校の飛び級の次は、大学内での転部、または転校について考えたい。そもそも高校2年生で理系と文系に分ける事自体が問題なのだが、大学入試時点で自分に合った学部を選べる学生は少ないであろう。18歳で自分に合った職業なんて見つけられないのに、18歳で自分に適した学部や学科を見つける事など至難の業である。

自分自身、アメリカの大学で転校と転部を経験している。簡単な大学からちょっと難しい大学に転校し、そして転校した大学で転部した。最初はこれから脚光を浴びる職業はコンピュータだと思い、コンピュータ学部を選んだが、2個目のコンピュータのクラスを受講中、コンピュータは自分に向いていない事を悟り、他の学部に転部した経験がある。幸いに自分が取った判断は正しく、今でもコンピュータは決して得意ではない。

アメリカの大学で学部や学科を変更する事は、成績が余程悪くなければ簡単にできる。学部や学科によって必須科目が当然違うため、必須科目さえ受講し単位を取れば問題ない。1年生や2年生で学部を変えた場合は、まだ専門分野の科目はそれ程履修していないので、それ程大きな負担は無い。

また大学によってはMajorとMinorとの2種類の学科を専攻する場合もある。Majorは主学科でMinorは副学科と云った感じだろうか。そしてDouble Majorを専攻する学生も少なくない。勉強をしたい学生はドンドン勉強できる仕組みである。アメリカの大学では学部や学科単位で定員が定められていないので、この様に自由に変われ、自由に学べる。

日本には複数の専門性を持ったプロが少ない事の原因の一つがこれである。複数の学部・学科を短期間で終わらせられる仕組みがあると、より高度な知識を持った人材を社会に送り出す事ができる。日本の大学もこの様に自由に学部や学科を変えられる様になって欲しい。