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副作用重篤度分類は抗がん剤治療のGO/STOPを決める羅針盤
抗がん剤などの3大療法で治療する場合、吐き気や脱毛などの自覚症状を伴う副作用だけでなく、骨髄、肝臓、腎臓など生命活動の維持に重要な臓器の働きが低下する重い副作用が起こることがあります。
それら臓器の機能が維持されているか、どのくらい低下しているかは血液検査の数値でわかります。がん以外の病気の治療(薬)の場合、治療に携わる医師は副作用が起こったら、軽度のうちに投薬を中止もしくは別な薬に変更してくれます。
ところが、ことがん治療の場合は、かなりの臓器障害のリスクがあっても医師は投薬を続ける傾向があります。
症状のある副作用であれば、患者さんはつらい場合には医師に申し出て治療の中止やお薬の変更を求めることもできます。しかし、検査値でしかわからない副作用は素人にはわかりません。どうしても医者任せになってしまい、その結果、最悪の場合には重い血液障害などの副作用で死亡してしまう可能性もあります。
そこで皆さんに知ってもらい、自分で活用していただきたいのが厚生労働省薬務局安全課が各都道府県衛生主管部(局)長宛てに通達している文書『医薬品等の副作用の重篤度分類基準』(以下、副作用重篤度分類と略す)です。
副作用重篤度分類はGO/STOP(治療を続けるか、やめるか)の目安になります。
この分類では副作用の重篤度を3段階に分けています。医薬品メーカーは病院から副作用の報告があった場合、この基準に照らし合わせて「グレード3」に当てはまったときには、病院に対して速やかに投薬の中止を要請するとともに、規制当局に報告する義務があります。このことを知らず、グレード3になっても抗がん剤治療を続ける医師もいます。
抗がん剤の副作用は命にかかわることですから、医師に任せきりにするのではなく、患者さんは自分で自分の身を守る必要があります。そのためにこの基準を活用していただきたいと思います。それぞれのグレードの定義とその数値(血液、肝臓、腎臓)は図1のとおりです。
抗がん剤治療を受けている方は、この表を使って自分の重要な臓器の状態を把握してください。正常な状態に近いグレード1(軽微な副作用:青信号)では、医師がなんと言おうと慌てる必要はありません。
しかし、グレード2(重篤でないが、軽微でもない副作用:黄信号)の範囲に入ったら気をつけなければなりません。
だんだん副作用が重くなり、重要臓器の機能が低下してきて本当に命が危険な範囲であるグレード3(重篤な副作用:赤信号)に入る前に、医師に相談して薬の投与を中止するか、もっと副作用の少ない他の薬に変えてもらうようにしてください。