6.SweetsAirport 2014年8月 千歳新千歳空港(2020年10月撮影)

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新千歳空港は北海道の玄関口である。

北海道のスイーツを中心としたお土産はあか抜けていているものが多く、他の地方都市に比して圧倒的に充実しているように思う。石屋製菓の「白い恋人」、六花亭の「マルセイバターサンド」、ロイズのチョコレート等、飛ぶように売れていく……。

新千歳空港は魅力的なサインに溢れており被写体に事欠かない。

新千歳空港は年間航空旅客数が2200万人を超える(2019年度)国内5番目の規模の空港で、お土産の物販店やラーメンストリート等の飲食店を始め、映画館や温浴施設もあり、一定の時間楽しく過ごすことが出来るような工夫がなされている。

以前から何で空港がもっと札幌近辺にないのか疑問に思っていた。札幌と新千歳空港はJRの快速エアポートで40分程度の距離だが札幌と千歳では気候が異なる。札幌はニセコ等と同じく日本海側の気候である一方、千歳は太平洋側の気候だ。

その為冬場の降雪量は札幌は多いが千歳はそれほどでもない。その代わり千歳は札幌より気温が2、3度低い。新千歳空港では晴れていたのに札幌に近づくにつれて次第に雪模様となるということはしょっちゅうある。

札幌の方から聞いた話だが前記の理由から空港は札幌近郊に造らず千歳に造ったのだという。降雪量が多ければ冬場の航空機の欠航率が高まり人の往来に大きく影響する。また新千歳空港には民間の滑走路だけでなく航空自衛隊の滑走路も併設されている。

ロシアからの脅威に対しいざという時にF15戦闘機が降雪の為に緊急発進(スクランブル)出来ないリスクはなるべく避けたいのだという。

北海道には米軍基地はないので有事では自衛隊だけで国防にあたらなくてはならない。

千歳は北の守りの要でもあるのだ。私は新千歳―羽田間を平均すると月1~2回程度は往復したが、4年間で大幅な遅延は多々あったものの新千歳空港に降りられない事態は1度しかなかった。

新千歳空港には3000mの民間滑走路が2本あり、降雪時は日本一(?)の空港除雪チームが出動する。降雪が強まってきた時、画面左側から彼らが黄色の回転灯を光らせ隊列を組んで滑走路に登場してくるのを発着ロビーで見ていたが、世代的に自然と頭の中で「サンダーバード」のテーマが流れてしまう……。

彼らがA滑走路を除雪(約30分で完了するという)した後、そのA滑走路で航空機が離発着する。

次に彼らがB滑走路を除雪し今度はB滑走路で離発着を行う。それを繰り返すことにより必ず1本の滑走路は使用出来るようにしているのだ。2本の滑走路を同時に使えないので上空は旋回する航空機で渋滞する。

旋回中の航空機の機内では「現在、新千歳空港は滑走路を除雪中ですので着陸までもうしばらくお持ちください」という放送が流れる。

しかしこの作業でも追いつかず、旋回中に限界がくると私も1度だけ経験したが「燃料の残量の関係で大変恐縮ですが今から羽田空港に引き返します」という絶望的なアナウンスを聞くこととなる……。

札幌の雪の話を少しすると、札幌は年間累計降雪量が平均4m程度の豪雪地帯。これだけの豪雪地帯に約200万人の人口が住んでいる都市は世界的にも珍しいという。

札幌が豪雪地帯という形容は私的にはシックリこない。雪質がサラサラのいわゆる、パウダースノーで、雪の重みを感じないからだと思う。

私の両親は新潟県の高田(今の上越市)の出身。こちらも札幌に負けないくらい雪が降るが湿気を多く含んだ重い「ベタ雪」で雪下ろしをせずにほっておくと雪の重みで家が潰れてしまう。

札幌では秋口と春先の季節の変わり目はみぞれが降り、その時は傘が必要だが、真冬のサラサラ雪であれば傘の必要はなくフード付きのコートさえ着ていれば、建物に入る時軽くコートを叩いて雪を払い落とせばそれで済む。

逆に路上で転倒した場合に備えて両手はフリーにしておくことが望ましいと札幌赴任当初教えられた。真冬の札幌の雪は冷え込んで乾燥度が高ければ細かい粉状の物が降ってくるように見える。

やや大粒な場合は上から下へ直線的に固体としての雪が降ってくるというよりは、風がなければ平べったい綿のような繊維質の物体が空気の抵抗を受けながらフワフワ舞い降りてくるように見える。

薄い雲の向こう側にぼんやりと見える太陽や街灯の光がこの平べったい雪の繊維の隙間から見える(さま)は幻想的だし、札幌のオフィスの窓からこの平べったい雪がビル街の複雑な風で上下左右に目まぐるしく方向を変え集団でスライドして動く(さま)は面白く見ていて飽きない。