俳句・短歌 短歌 故郷 2022.09.20 歌集「星あかり」より三首 歌集 星あかり 【第123回】 上條 草雨 50代のある日気がついた。目に映るものはどれも故郷を重ねて見ていたことに。 そう思うと途端に心が軽くなり、何ものにも縛られない自由な歌が生まれてきた。 たとえ暮らす土地が東京から中国・無錫へと移り変わり、刻々と過ぎゆく時間に日々追い立てられたとしても、温かい友人と美しい自然への憧憬の気持ちを自由に歌うことは少しも変わらない。 6年間毎日感謝の念を捧げながら、詠み続けた心のスケッチ集を連載でお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 往来の流れる景色恵沢が 心を満たし積もる恩恵 共にいて今改めて湧き上がる 愛する友が今此処に有り 夕霧に大雁塔が抱かれて 古都に誘う歴史の遺産
小説 『再愛なる聖槍[ミステリーの日ピックアップ]』 【新連載】 由野 寿和 クリスマスイヴ、5年前に別れた妻子と遊園地。娘にプレゼントを用意したが、冷め切った元妻から業務連絡のような電話が来て… かつてイエス・キリストは反逆者とされ、ゴルゴダの丘で磔はりつけにされた。その話には続きがある。公開処刑の直後、一人の処刑人が十字架にかけられた男が死んだか確かめるため、自らの持っていた槍で罪人の脇腹を刺した。その際イエス・キリストの血液が目に入り、処刑人の視力は回復したのだという。その槍は『聖(せい)槍(そう)』と呼ばれ、神の血に触れた聖(せい)遺物(いぶつ)として大きく讃えられた。奇跡の逸話(…
小説 『上海の白い雲』 【第10回】 河原 城 妹が天国に逝った。幸せな人生を送らせてあげたかった。お金を貯めて、大きな病院に入れて、私が毎日お見舞いに行って… 《小詩(シャオシ)、天国で楽しく健やかにいることを祈っています。あなたのことを忘れることができません。母亲(ムーチン)からの手紙を領事館から受け取りました。小詩(シャオシ)が天国に逝ったことを知りました。小さい時から不自由な体で希望の持てない人生を送らせてしまいました。病気を克服して、人としての幸せな人生を送らせてあげられなかったことが、残念です。最後に一目小詩(シャオシ)に会いたかったのですが…