俳句・短歌 句集 2022.06.24 句集「八ヶ岳南麓」より三句 句集 八ヶ岳南麓 【第70回】 浅川 健一 八ヶ岳の麓で暮らす医師の、四季折々の俳句集 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 端つこにひとかたまりの黄水仙 泥んこの子供を洗ふ子供の日 乾漆の像の剥落四月尽
小説 『アイアムハウス』 【新連載】 由野 寿和 静岡県一家三人殺害事件発生。その家はまるで息をするかのように、いや怒っているかのように、大きく立ちはだかり悠然としていた 午前十一時。サイレンを鳴らさず、車両は静岡県藤市十燈荘(じゅっとうそう)に到着した。静岡中央市にある県警本部から十燈荘までは、藤湖をぐるっと大回りして藤市経由でトンネルを通り、小山を登ることになる。藤湖を見下ろす高級住宅街、十燈荘は、土曜の昼だが活気はない。既に外部への交通規制が敷かれているとはいえ、不気味に静まり返っている。ここで殺人事件があったことを、住民達が知っている気配はなかった。その家…
小説 『浜椿の咲く町[人気連載ピックアップ]』 【第27回】 行久 彬 「止めて!」突然上がった女の悲鳴――若いカップルの喧嘩に手が震え出し目から涙を溢れさせて嗚咽を漏らし始め… 大阪か名古屋から来た観光客だろうか小さい子を連れた家族が三組と高齢の夫婦が二組、それと若いカップルの六組ほどの乗客と一緒になった。船内はまだ席に余裕があり、それぞれのグループが間を置いてバラバラに座った。若いカップルは通路を挟んで美紀達と並びの席だった。遊覧船は軽快なエンジン音を上げながらゆっくりと入り江の港を離れた。大小六十あまりの島々が点在する英虞湾は波も穏やかで、遊覧船は潮風を受けながら軽…