そんな時、電話のベルが鳴った。
「はい」
「もしもし省吾? お母さんだけど」
「あっ、どうなった?」
「結局、明後日通夜でその次がお葬式だってよ!」
「俺の手伝うこと何かない?」
「あるにはあるけどさ、あんた、忙しいだら?」
そのあとも会話が続いた。そして、
「あっ! 雪乃がさ、おふくろはそのまま静岡に暮らすんじゃないかって言うんだけどさ、それホント?」
「あんたはそんなこと心配しなくてもいいの!」
「てことは本当なんだな」
「お爺ちゃんがさ、もうだいぶ前から私に来てもらいたいって言うんだよ。兄や姉は当てにならないからって」
「それで、百姓やるのかよ」
「そのつもりだよ」