携帯エアリー
「おいおい、あっぶねえな!」
そのまま暫く動かないでいたので、次のICで降り、逆側のICから乗った。そして、また次のICで降りて上り、元の道に戻った。しかし、停車していた車はずっと先を走っていた。そこで、エアリーの解決ボタンを紀香が押し、文字が出て来た。
〈このままでは危険! 一度高速のPAの駐車場で休憩するといいです〉
エアリーの指示通りPAで休憩しながらドッグの表示を見ていた。すると、ドッグは高速を降り、一般道路に入った。しかし、またどうなるかわからない。もう一度、エアリーの解決ボタンでの判断を参考にした。
〈犯人逮捕より、ドッグの電池がそろそろ切れそうです。引き上げるかドッグに充電させてください〉
省吾は充電を選んだ。どちらにしても逮捕は無理だろう。ドッグなしでは崎田はきっと逮捕出来ないだろう。そこで、まるで一休さんのように知恵を働かせようと省吾は目を瞑って考えた。紀香はドッグの充電をした。
――うーん。この場合、犯人を逮捕するより自分たちの身の安全と今崎田の近くにいる人々の安全を考えるべきだ。しかし、崎田は何を考えているのだろう? 逃げて逃げて自分一人だけ助かるつもりか? OSの他のメンバーが捕まったというのに一番罪の重い崎田が逃げるとは罪悪感などない根っからの悪党か?
横井真由はそんな崎田に逃げてほしいと思っていた。それでも崎田には人の心はないのか? 捕まってから「ごめんなさい」では意味がないんだ! あとから反省しても手遅れなんだよ!
省吾はPAを出て高速を降りた。そして、充電したドッグを放ち再び追いかけた。すると、崎田は公園に車を置き、車から降りて逃げて行った。その車にドッグの部品を入れ、臭いを嗅がせて再び追いかけさせた。すると、ドッグは崎田の上で止まった。