僕らの地区でもっとも強豪といわれていたのが私立仁成学園中等部で、昨年もかなり競った試合をしている好敵手だった。谷本先生は英児を出来るだけ温存して地区を勝ち抜きたいという考えを示した。「とにかく中学野球は連投にうるさい。1回戦の頭は沢村でいくが、あとは出来るだけ今村と佐竹でしのいでほしい。そのためには湯浅、お前のリードが頼りになる」「分かりました。出来る限りのことをやります」僕は副主将に任命された…
[連載]サイレントエース
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小説『サイレントエース』【第10回】湯澤 明彦
1死一、三塁となって僕の出番が来た。特に力みはなく、我ながら冷静だった。観客席からは両親の声まで聞こえてきた
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小説『サイレントエース』【第9回】湯澤 明彦
キャプテンは苦労人だ。父親には持病があって、母を支えるために家業を手伝い、弟妹の面倒を見る。限られた時間で…
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小説『サイレントエース』【第8回】湯澤 明彦
記者から譲り受けた「池永メモ」。この瞬間から手話と学校の勉強、野球部の練習に全力投球!
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小説『サイレントエース』【第7回】湯澤 明彦
「俺はもうだめだ。せめてこのメモを…」プロ野球選手を夢見ながらすい臓がんで亡くなった親友は、僕にノートを託して…
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小説『サイレントエース』【第6回】湯澤 明彦
チームは強くなっていたものの、しかし僕は徐々に自分に不満を感じ始めていた…
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小説『サイレントエース』【第5回】湯澤 明彦
モデルのような美しい花笑さんから声をかけられたのに、顔が真っ赤になって何も言えず…
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小説『サイレントエース』【第4回】湯澤 明彦
「すげえ。本物だ」耳の聞こえない剛腕投手「英児」の存在は瞬く間に学校中の噂に!
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小説『サイレントエース』【第3回】湯澤 明彦
出会いは聾学校の練習試合。エース・英児の打撃は軽く外野のネットを超えていき…
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小説『サイレントエース』【第2回】湯澤 明彦
何ら健康に問題がなく生まれてきた赤ん坊は、泣き声を一切発することがなかったのだ
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小説『サイレントエース』【新連載】湯澤 明彦
ここで勝てば、甲子園出場。ピッチャーは…「サイレントエース」。