あまりに重い話に僕は言葉もなかった。ただ、ひとこと、「そんな大切なものをいただくわけにはいきません」とだけ小声で答えた。「いいんだよ。僕は池永のためにも記者として一生懸命頑張ってきたし、そのノートも十分参考になった。あとは、同じキャッチャーの君が、このノートを競技に活かしてくれないか、頼む」僕はおそるおそるノートを開いた。几帳面でまじめな池永さんの性格が伝わってくるようなメモだった。ピッチャーの…
[連載]サイレントエース
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小説『サイレントエース』【第8回】湯澤 明彦
記者から譲り受けた「池永メモ」。この瞬間から手話と学校の勉強、野球部の練習に全力投球!
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小説『サイレントエース』【第7回】湯澤 明彦
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小説『サイレントエース』【第6回】湯澤 明彦
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小説『サイレントエース』【第5回】湯澤 明彦
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小説『サイレントエース』【第3回】湯澤 明彦
出会いは聾学校の練習試合。エース・英児の打撃は軽く外野のネットを超えていき…
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小説『サイレントエース』【第2回】湯澤 明彦
何ら健康に問題がなく生まれてきた赤ん坊は、泣き声を一切発することがなかったのだ
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小説『サイレントエース』【新連載】湯澤 明彦
ここで勝てば、甲子園出場。ピッチャーは…「サイレントエース」。