「真実をよ。」ラウルは眉まゆをひそめて、ベスに向き直った。「ラルス・ジーモンの真実か?」彼女はうなずいた。ラウルはベスから目をそらし、麻袋に木の実を詰め始めた。「ラルス・ジーモンの肖像画についてなんか考えたことないよ。そんな必要もない。僕の考えることでもない。」「そうかしら? よく考えることは大事だと思うわ。噂うわさではなく、真実を知って行動するというのは大切なことよ。」ベスは思い巡らすように…
[連載]初めの物語
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