未代が最初に慶三の存在に気付いたのは、優輝が十カ月を過ぎてお座りは安定したものの、まだ言葉をろくに喋れなかった頃だった。ふぎゃあー、と激しく泣いている優輝に気付いて和室の戸を開けた時、優輝はぴたりと泣き止み、極めて明瞭な声で「腹が減ったから何か食わせてくれ」と言った。びくっとして電気を点けた未代は部屋を見渡し、その声の主を探したが、当然他に誰も見当たらない。「ここだよ。俺だって」と再度聞こえて…
［連載］小節は6月から始まる
-
小説『小節は6月から始まる』【最終回】
息子の体に父の魂が入り込んだ？0才児、突然しゃべりだす。
-
小説『小節は6月から始まる』【第9回】
「俺はそのまた親だ」五歳の子供が母に言った言葉の真意とは？
-
小説『小節は6月から始まる』【第8回】
「間違いない。この人は天使だ。」恋のメーターは最高潮！
-
小説『小節は6月から始まる』【第7回】
時給以外にも、何かを求めたりしてねえよな…バイトの答えは？
-
小説『小節は6月から始まる』【第6回】
常連客には感謝しているけれど…正直有難迷惑にも感じている
-
小説『小節は6月から始まる』【第5回】
幼稚園児とは思えない小賢しさ「あんた、ほんとに五歳なの？」
-
小説『小節は6月から始まる』【第4回】
生活という生き物は、夢も愛も破壊するだけの力をもっている。
-
小説『小節は6月から始まる』【第3回】
彼はもう私のそばにいない。妊娠二カ月目だと聞かされた私は
-
小説『小節は6月から始まる』【第2回】
「牧森未代さん…だよね？」見覚えのない、その男性の正体は
-
小説『小節は6月から始まる』【新連載】
あの夢を見てから二カ月ほど経った頃、私の体に異変が…
