岳也は鼻歌をうたいながら、ぶらぶらとスタジオに向かって歩いていた。友人がやっているバンドのドラムが腕を骨折して練習ができないから出てくれないか、と急遽頼まれたのだ。岳也は初見がきくし、バンドの楽器を一通りかじっているので、突然でも特に支障はない。そこを見込まれて、欠員を埋める役を今まで何度もこなしてきた。本番のステージにだって出たこともある。途中の急な坂道を上りきって、岳也は顔を上げた。歩道の柵…
[連載]空虚成分
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小説『空虚成分』【第14回】媛 ひめる
カゴに貼りつけられてある説明書き。岳也は感心したのは――
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小説『空虚成分』【第13回】媛 ひめる
もしかすると、華は──。怪しい男から話を聞いてふと思った。
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小説『空虚成分』【第12回】媛 ひめる
自殺した3人は皆、ゴウグループの傘下にある会社に勤めていた
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小説『空虚成分』【第11回】媛 ひめる
一体何をやっている会社なのか?さっぱりわからない社名
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小説『空虚成分』【第10回】媛 ひめる
雇い主の娘さん…何を考えているのかまったくわからない
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小説『空虚成分』【第9回】媛 ひめる
季節ものの無花果を食後に…「味が薄い果物は好きじゃない」
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小説『空虚成分』【第8回】媛 ひめる
父親を演じている…父の微笑を見て本当に背筋が寒くなった
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小説『空虚成分』【第7回】媛 ひめる
ある朝目覚めて気が付いた…学校に行く意味がどこにもない
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小説『空虚成分』【第6回】媛 ひめる
父親も家政婦も、私に興味を抱かないという共通点がある
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小説『空虚成分』【第5回】媛 ひめる
父母が離婚…過去の写真は母親がすべて処分してしまった
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小説『空虚成分』【第4回】媛 ひめる
クリスマスは絶対休めないよ。彼女と過ごすのは無理だから。
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小説『空虚成分』【第3回】媛 ひめる
根っからの悪人の見た目は普通…むしろ普通よりいい人
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小説『空虚成分』【第2回】媛 ひめる
マスクしてる人は音がくぐもるから、そういう人には近付かない
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小説『空虚成分』【新連載】媛 ひめる
こっそり他人のくしゃみを録音し、サンプリングを楽しむ男
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