【前回の記事を読む】ある1月の午後、家に父の姿がなかった。今日は非番だったはずだが……何の用で城に行ったのか? 夕方になって父は…屋敷全体が静まり返っているようで、あまり物音がしない。徳三郎は下駄をはき、屋敷内を歩いてみた。その時、門から一人の総髪の男が付き添いのものに荷物を持たせて足早に入ってきて、屋内に上がっていくのが見えた。それから小半時、父が奥からあたふたと出てきて、徳三郎に言った。「徳…
[連載]岐路
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小説『岐路』【第10回】田中 建彦、田中 充恵
病死した直元に代わり、新たに世継ぎとなった井伊直弼。しかし家老は「若殿様の生活で気付きがあれば知らせよ」と何か思わせぶりで…
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小説『岐路』【第9回】田中 建彦、田中 充恵
ある1月の午後、家に父の姿がなかった。今日は非番だったはずだが……何の用で城に行ったのか? 夕方になって父は…
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小説『岐路』【第8回】田中 建彦、田中 充恵
「明け方から奇妙な町人が座り込んでおりまして…」話を聞くと、それは前に命を救った盗人だった
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小説『岐路』【第7回】田中 建彦、田中 充恵
命を救ってもらったお礼に「家来にしてくだせ!」と現れた盗人。だが…「夜中に寝室に忍びこむとは。出て行け!」
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小説『岐路』【第6回】田中 建彦、田中 充恵
飛び起きて枕元の刀を掴むと、盗人の男は頭を畳に擦り付けていた。「お許し下さるご器量に、心がとろけてしまいました。」
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小説『岐路』【第5回】田中 建彦、田中 充恵
「この野郎!」――彼の手が何か異様なものに触れた。荒ててそれをつかみあげると、それは他人の手だった。
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小説『岐路』【第4回】田中 建彦、田中 充恵
「徳三郎、十日後には江戸にお発ちなさい」父だけでなく十八の息子も手放すことは、母の表情をどことなく寂しくさせた――
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小説『岐路』【第3回】田中 建彦、田中 充恵
「余は朝廷にお味方しようと思う」十八歳の藩主は決然と口にした。それは彦根藩井伊家が徳川家に反旗を翻した瞬間だった
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小説『岐路』【第2回】田中 建彦、田中 充恵
武士として命を賭けて行動しなければならない時、いったい誰を選ぶのか……? 忠を取るか孝を取るかの二択が迫られる。
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小説『岐路』【新連載】田中 建彦、田中 充恵
親徳川派は約六割、新政府側は約四割と真二つに割れている彦根藩。藩論を統一するための会議を開くことになり…