【前回記事を読む】「あなたってそういう人だったのね」好きだった担任の先生からの一言は、千津の心に深く刺さった…本庄の家では、この頃、次々と事件がおこっていた。次男の英二と、富士シネマで働く女との噂が、剛三の耳に届いた。相手は、英二より十歳以上も年上の、二人の子持ちの戦争未亡人である。英二は若年であっても、誰に対しても物怖じせずに接する、豪胆なところがあった。二人が親密だという話を近所の人から聞か…
[連載]海の梵鐘
-
小説『海の梵鐘』【第7回】波方 遥
「年頃になったら、女は嫁に行くもんだ。」父に縁談を無理強いされた次女は一年半後、赤ん坊を抱いて戻ってきた。
-
小説『海の梵鐘』【第6回】波方 遥
「あなたってそういう人だったのね」好きだった担任の先生からの一言は、千津の心に深く刺さった…
-
小説『海の梵鐘』【第5回】波方 遥
教会に出入りしていた男が資金を詐取して逃亡するという事件が起きた。熱心だった若い牧師が責任を取る形で転勤させられ…
-
小説『海の梵鐘』【第4回】波方 遥
生活はようやく安定してきたものの、再婚してから生まれた子供に「心臓に雑音がある」と告げられたつね。それ以来…
-
小説『海の梵鐘』【第3回】波方 遥
早くに妻と死別し、孫を残したまま娘も亡くしたという舅。偏屈者の彼は、誰にも笑顔を見せず、気に食わないことがあると…
-
小説『海の梵鐘』【第2回】波方 遥
16歳年上の大工との縁談。家を訪ねると、6人の子供を前に「お前らの新しいおっ母ちゃんだ。」と言われ......
-
小説『海の梵鐘』【新連載】波方 遥
戦後、高度経済成長期より少し前、海から一里ほどの海鳴りの聞こえる町で千津は育った。