【前回記事を読む】今まで兄と呼んでいた人と結婚させられる…戦後の嫁入り事情。「母ちゃんから義父ちゃんに言ってよ」と訴える娘に母は…忠助が亡くなった翌年、徳一に嫁がやってきた。隣町の農家の長女で、泰子と言った。色白で眼鏡をかけていた。千津は徳一の嫁を「あねさん」と呼んで、すぐに懐いた。この地方では、嫁は家の終い風呂に入ることが当たり前、とされていた。家事を一通り済ませ、他の家族が風呂に入り終わるの…
[連載]海の梵鐘
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小説『海の梵鐘』【第9回】波方 遥
「下着に赤いものを見つけた」その日から、男兄弟の前で「一人前の女になったくせに」と叱られるように…
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小説『海の梵鐘』【第8回】波方 遥
今まで兄と呼んでいた人と結婚させられる…戦後の嫁入り事情。「母ちゃんから義父ちゃんに言ってよ」と訴える娘に母は…
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小説『海の梵鐘』【第7回】波方 遥
「年頃になったら、女は嫁に行くもんだ。」父に縁談を無理強いされた次女は一年半後、赤ん坊を抱いて戻ってきた。
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小説『海の梵鐘』【第6回】波方 遥
「あなたってそういう人だったのね」好きだった担任の先生からの一言は、千津の心に深く刺さった…
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小説『海の梵鐘』【第5回】波方 遥
教会に出入りしていた男が資金を詐取して逃亡するという事件が起きた。熱心だった若い牧師が責任を取る形で転勤させられ…
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小説『海の梵鐘』【第4回】波方 遥
生活はようやく安定してきたものの、再婚してから生まれた子供に「心臓に雑音がある」と告げられたつね。それ以来…
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小説『海の梵鐘』【第3回】波方 遥
早くに妻と死別し、孫を残したまま娘も亡くしたという舅。偏屈者の彼は、誰にも笑顔を見せず、気に食わないことがあると…
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小説『海の梵鐘』【第2回】波方 遥
16歳年上の大工との縁談。家を訪ねると、6人の子供を前に「お前らの新しいおっ母ちゃんだ。」と言われ......
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小説『海の梵鐘』【新連載】波方 遥
戦後、高度経済成長期より少し前、海から一里ほどの海鳴りの聞こえる町で千津は育った。