慶長二〇年(一六一五)四月──。この頃、老境に差し掛かってきた伊藤肥後信氏に対し、「出陣命令」が下された。『片倉小十郎に従い、鉄砲隊を編成し、大坂へ向け出陣せよ』のちの世にいう「大坂夏の陣」である。片倉小十郎……あの信氏の大恩人、片倉小十郎景綱ではなかった。彼の嫡男、左衛門改め「片倉小十郎重綱」である。景綱はもはや大病で余命幾許もなく、隠居して家督と小十郎の名乗りを息子に譲り、この時点では「片倉…
[連載]縁 或る武家のものがたり
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小説『縁 或る武家のものがたり』【第6回】伊藤 真康
「これより大坂へ出陣する!」鉄砲隊を率いる足軽頭たちが、白石城に続々と集結。揃ったところで、いよいよ総出陣の運びとなった
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小説『縁 或る武家のものがたり』【第5回】伊藤 真康
知行地から四里ほど離れた主君・伊達政宗の本拠「岩出山城」へ参勤。数年後には本拠が新設の「仙台城」に
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小説『縁 或る武家のものがたり』【第4回】伊藤 真康
途方に暮れる一同。伊達政宗が与えた肥沃な土地は、時には人骨が見つかり、誰もが逃げ出すほど荒れ果ていた...
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小説『縁 或る武家のものがたり』【第3回】伊藤 真康
「儂は殿に心底惚れ申したのだ。」裏切りで悪名高かった武将が忠義を誓うほどの器量を持つ主君は、他所者である我らのことすら…
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小説『縁 或る武家のものがたり』【第2回】伊藤 真康
国へ帰ることもできず、大切な家臣も、母も失った伊達政宗は嘆くことしかできなかった…
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小説『縁 或る武家のものがたり』【新連載】伊藤 真康
浪人となった伊藤家は一家離散の憂き目に遭い、父と息子はただ二人、行く当てもなく…