【前回の記事を読む】2400年前に「医学の父」ヒポクラテスが遺した自然治癒説
ルーツ⇒ヒポクラテスのご先祖は神様でした
神話の世界の父から子へ
ヒポクラテスの父・Heraclidos(ヘラクリドス)も医者でした。その家系は、医神・Asclepios(アスクレピオス)に端を発します。アスクレピオスは、あのギリシア神話の神さま・Apollon(アポロン)の息子です。この旅は、図らずもアポロンのご先祖さまから、すなわちギリシア神話の成り立ちから始まることになりました。
神話の始まりはKaos
古代ギリシアには、さまざまな神様が登場します。ヒポクラテスのルーツが神話の世界に端を発しても不思議ではありません。神話というものは古い時代の伝承なのですから。神話は、まずはじめにカオス(混沌)があったことから始まります。そこから母なる大地が生まれ、天と地を作ったのです。
阿刀田高氏は、「はじまり…」をこのように解説しています。「カオスの中から少しずつ人間たちが棲息するのに相応しい大地と空と海と生殖の根本ともいうべき愛が生まれ、人間の祖先としての神々の営みがはじまった」(『ギリシア神話を知っていますか』阿刀田高著新潮文庫)
カオスは闇ではなく、だんだん浅くなっていく眠りのようにドローンとした正体不明の状態のことです。このカオスの中で重いものが下に沈んで「大地」が生まれました。神々の母=ガイアの誕生です。広い胸を持ち全てを受け止める女神です。そして、ウラノスとポントスを生みます。誰とも交わらずに。