和枝からメール。
「どこまで祈り続けることができるか─。そんな人生になるんだなぁ。その入り口に立ったんだなぁと思います。まだ甘いかもしれないけど、廉と遥のお蔭で、きっと祈り続けることができそうな気がするよ」
その夜、廉との口喧嘩がもとになり、大泣きした遥が和枝にまで電話でかみついた。
「最近テレビがつけっぱなしになっている」という些細なことから、今後留守番が多くなる遥を廉が注意した。
「こんなんじゃ勉強できないだろ」と。
和枝も電話で廉に加勢した。
遥は「ママはちっとも遥と話す時間を取ってくれないじゃない。テレビだって見てるわけじゃないよ。ただ寂しいから音を出してるんだ」と泣きじゃくった。
でも二分、三分と和枝と話すうち、あやされる子どものようにゆっくり笑顔が戻ってきて、冗談も出るようになる。ママと話し、携帯を耳に当てたまま、だんだん眠たそうになっていく遥。
しばらく後でかけ直した廉が「哺乳瓶を片手に、指しゃぶりしながら眠りに落ちていく、小さい頃の遥の姿と重なったよ」と言うと、和枝も言った。
「さっきの電話、ホントに泣けたわ」