【前回の記事を読む】人間のように怒り、悩むAI。宇宙船の7人目の主人「乙姫」誕生

太陽圏からオリオン星座に向けて発進

太陽圏の端には、人類はまだたどり着いたことがない。

かつて1977年にアメリカが打ち上げたボイジャーが、人類が太陽系外宇宙に向けて発進した初めての惑星探査機である。

全く未知の世界に向けて飛び立つウラシマは、マゼランが16世紀に大西洋に向け地球一周の冒険旅行に出かけたのと同じ心境である。

人間は有史以前から未知なることにチャレンジし続けてきた。人間の遺伝子は本能的に未知の世界に人類を導くのである。これは人類に与えられた神からの本能である。

生命学者は、生命がその領域を広げるのは種の保存領域を広めて繁栄するための行動と説明するが、人間の冒険はそんな簡単なことでは説明しきれない。

あらゆる未知のものを知りたがる好奇心、それはどんな危険が待ち受けていようともやらなければ気が済まない、欲望を抑えきれない本能である。

神は果てしない広大な宇宙を創造し、そして人間を誕生させ、その宇宙というフィールドをあてがった。

与えられた人間は、その神秘な魅力のとりことなり、星々を眺め名前を付け、すべてを知りたいと宇宙を愛した。

もし神が、今でも人間を見ているならば、宇宙という金魚鉢の中で動き回る人間のそのさまを面白おかしく眺めていることであろう。

「百聞は一見に如かず」というが、宇宙観測の進歩で人類は宇宙の果てまで覗き見し、すべてを知ったかのような現代文明を作り上げたが、それはまだほんの入り口でしかなかった。

この計画の中で人類が確実にわかっていることはわずか数パーセントでしかない。心配しだしたら切りがない。未知への冒険とはこのようなことである。