「それで、本題なんですが、大木正臣さんとは、パーフェクトで知り合ったんですか?」
「パーフェクトって何ですか?」
「学校もろくに行けなかった人や外国人にタダで勉強を教えて、仕事もさせて給料もくれる会社ですよ」
「そうですか。何年も会ってないんで、それは知りませんでした」
「じゃあ、知ってることを詳しく聞かせてほしいんですが」
「そうですね、大木さんは三船さんと名乗っていて、オレオレ詐欺っていうより、僕たちみたいに悩みを抱えてお先真っ暗な人に希望を与えてくれる神的な存在でした」
「神?」
「世の中の大富豪のずるさとか傲慢さをビデオで見せてくれます。そのあと、その人たちの悪行の数々に僕たちがメスを入れてお金を支払わせる手法を教えてくれたんです」
「例えば、具体的には?」
「脱税や横領やぼったくりを見つけ出して家族を脅す作戦でお金をむしり取るとか」
「その、大富豪たちは本当にそういうことしてると思いますか?」
「わかりませんが、今思えば、箱長の作戦だった気がします」
「大富豪は大概高額納税者なんですよ。脱税もしているかもしれませんが、稼いだ分から億というお金を税金として納めたりしているんです」
「今思えば、そうかもしれませんね」
「それで、あなたはどんな仕事をしたんですか?」
「買取屋とかけ子が主でしたが、スーツ着て……受け子の仕事もしていました」
「それで、捕まりそうな時はなかったですか?」
「ありましたが、近くにバイクや車をあらかじめ用意してあったので逃げました」
「箱長の卒業文集やアルバムは誰から見せてもらったんですか?」
「買い取り屋とかけ子の長野俊也君です」
長野俊也はすでに捕まっていた。そして、長野から大木の出身校を聞き、資料の隠し場所も教えてもらった。