そこで、紀香はエアリーを田中に向けた。

《流し台の引き出しの二番目》

紀香は引き出しを開けると、そこに封筒があり、お金が入っていた。

《何でわかったんだよ‼》

紀香が省吾に言った。

「この封筒とお金からエアリーに調べてもらうことは出来ないかしらね」

田中が怪訝な顔をしたので、省吾は誤魔化した。

「警察用語です。あまり深く考えない方がいいですよ」

「俺の金だ! 俺が働いて稼いだ金だ‼」

封筒から指紋を採取。エアリーを当てたが、社長らしき空気はもうない。指紋も田中の指紋かもしれない。

紀香が言った。

「お金はお返ししますから封筒だけはお貸しください」

「いいよ。封筒だけなら」

しかし、封筒の中身は違法な金だ。あとで二課に連絡しなければならない。

「あの、社長さんの似顔絵を描いていただけませんか?」

「やだよ。俺、何やっても鈍くさいからさ」

「それでもいいのでお願いしますよ」

「やだ!」

「それじゃあ、僕が描きますから、もう一度特徴を言ってください」

そして、省吾が描いた似顔絵が出来上がった。一課に戻り、指紋から前科のある「崎田恭平」が浮かび上がったが、崎田は田中に封筒を渡しただけかもしれないし、似顔絵とは程遠い。中間職の男だろう。崎田の居場所も特定出来ない。実家の住所や以前の居住地、職場に聞きこむしかない。

警視庁の主任はメンバーに呼び掛け、崎田の関係者から詐欺グループを見つけ出し、社長の行方を掴んだあと、殺人事件の真相を明らかにする作戦に出た。