ボゴタからの到着便変更の便りはまだ届いていなかったので、Kは昨夜は日本酒と寿司を買って、空港まで迎えに来てくれたとのこと。それなのに三人の北米旅行が困難になったとどうやって話そうかと悩む。仕方がないので、入国審査の状況を正直に話して謝る。しかし、Kも日本での結婚が決まり、親から早く帰国するように催促されて、当初予定の三ヶ月間の旅行を一ヶ月くらいに短縮せざるを得ないと謝る。

三人で謝りあって気持ちが落ち込んでいても仕方がないので、今夜は中南米旅行からの無事の帰還を祝って飲む。外は雨。米国は貧乏人には冷たく寒い。

翌日は昼過ぎに起きてダウンタウンで夕食をとり、日本映画を観て気分を一新した後で今後の対策を三人で話し合う。三ヶ月間の北米旅行が不可能になったのは仕方がない。とりあえず、社会保障番号カードを所有していると記載されている入国カードをなくすために、もう一度車でメキシコに出国してメキシコ北部を横断し、テキサスから米国に再入国することとした。

その五日後の三月二十五日にメキシコに出国して四月五日にテキサスから米国に再入国。国境の入国審査所の部屋に入ってどきどきしながら待っていると審査官は人のよさそうなおじいちゃんで、口笛を吹きながらやってくる。旅行目的、家族、中南米旅行のことを質問される。六月に日本に帰国の予定だというと、簡単に六月末までの滞在許可をくれる。バンザイ! バンザイ! テキサスバンザイ! その夜は三人で祝杯。