【前回の記事を読む】【小説】新機能を捜査に活用!しかし、同僚からのまなざしは…
携帯エアリー
赤井は省吾のアパートに来ることになった。しかし、省吾はドキドキしてエアリーどころではなかった。なぜなら赤井はかなりの美人で年も省吾より二つ下だった。もしもエアリーを赤井に説明して、自分の心が赤井に読まれたらたまったものではない。そして、赤井の気持ちまでわかってしまう。それはかなりの覚悟が必要だ。
「ピンポーーン」
ドアスコープから覗いてみると、やはり赤井がいた。省吾がドアを開けると、
「こんばんは」
「おー、まあ、入れよ」
「そこのコンビニでコーヒー買ってきたの。飲んで!」
「ありがとう」
省吾はドキドキした。しかし……。
「それが例の携帯ね!」
「そうだけど」
「へえーー、説明書があるじゃない」
「お前はあんまり使わない方がいいよ」
「携帯エアーリーディング、ドッグ付?」
「空気を読み取るってわけだよ」
「ドッグ付ってのは?」
「臭いや空気を読み取って記憶させて、犬みたいに嗅ぎつけてその場所にいた人間を探すってわけだ」
「それがこれ?」
「そう。クリスタルドローンだよ」
「凄ーい!」
「これで犯人逮捕につながるといいんだけどな」
「それだけじゃないでしょ?」
「それだけだよ」
「今日の事件現場の子供に向けてボタン押して、何か文字が出てきたようだけど……」
「見てたのかよ!」
「ここに何か書いてあるわよね」
赤井は説明書を読んで目を丸くした。
「何? 心の声が文字として現れる? えーーーっ?」
「それはやめといた方がいいよ」
「へえーー、このボタンを押せば…」《おいおい、俺の考えてることがわかっちゃうじゃないか、やめろよ!》
「グッ!」《お前、俺と間違いがあってもいいとでも思ってんのかよ!》
赤井は顔を赤らめ、
「やだ! そんなこと考えてないわよ! ただこの不思議な携帯が気になっただけで……」
《男の一人暮らしだぞ! そういうつもりだったんじゃないか?》
「ヤダ! ……もう、これはやめといた方がいいわね」
「そうだよ。捜査に使うのはいいかもしれないけど、それ以外はやめといた方がいいよ」