「そう、その通りだ! ただ、今どこにいるのかはわからないだろ?」
「そうですね。それが大変なんですよ」
管理人は得意顔で、省吾の目を見ながら語りだした。
「そこでだよ、このドッグが活躍するんだ!」
「ドッグ?」
「クリスタルドローンだよ」
「へーーーっ! ドローンですか?」
「透明だから人に気づかれない。警察犬のように臭いや空気をドッグの部品に記憶させてドッグに部品を差しこんで空へ放つ。ドッグは臭いの元へ辿り着き、GPSでその場所をエアリーに知らせてくれるんだ! そのエアリーは他の端末にもつなげられるよ。大画面で見たかったらパソコンにつなげればいいんだ」
「凄い!」
「ドッグはその場所を記憶してくれて戻ってくるから、端末の画面から目を離していてもあとからどこにドッグがいたかがわかるんだ。それに、エアリーにも記録が残っているからね」
「それは優れものですね」
「ドッグに臭いや空気を記憶させても、そこに辿り着いた人間が必ずしも犯人とは限らないからね。そこからはエアリーの心の声と君の洞察力にかかってるってわけだよ」
「ありがとうございます! それだけ機能があれば鬼に金棒です」
半信半疑だった省吾だが、迷いは薄れた。この時、買わないで後悔するよりも買って後悔した方がいいと思った。
「ドッグ付エアリーは私には使い道はないし、君のような刑事に使ってもらうのが最適なんだよ」
「ありがとうございます。お金はまた持って来ますが、全額はすぐには……」
「ゆっくりでいいよ。それより、これで冤罪はなくなるといいな」
「はい。がんばります」
省吾はアパートに帰ってからドッグ付エアリーの説明書を何度も繰り返し読んだ。しかし、なかなか思うようにいかない。そして諦めて寝てしまった。