【前回の記事を読む】定員割れの学年に「誰も後ろ指を指させない!」学年主任の奮闘

全都初の海外修学旅行

~実施間際に「9.11事件」!!~

そんなある日、世界中を震撼させる事件が起きた。いわゆる「9.11事件」〈注1〉である。

それは、丁度、修学旅行の打合せもあって遅くに帰宅した日のことだった。晩御飯を済ませ、ソファに寝っころがってテレビのリモコンをオンにしたら、ハイジャックされた飛行機がアメリカの世界貿易センタービルに突入する映像が飛び込んできた。

最初、映画のワンシーンかと思ったが、そうではなかった。まぎれもない事実、現実の出来事であった。

その時、これから大変なことになると瞬時に思った。そんな予感は的中し、これまでにない想定外の対応や準備に当たらなければならないことになっていった。当時は、沖縄方面の修学旅行でさえ、「自粛すべし」という意見も取り沙汰されるような情勢であった。

そんな中、都教委はどう反応したのか。

結論から言うと、こうだ。「すべては校長の責任で!!」「学校が判断すべし!!」、ということだった。

唖然としたが、ここで都教委批判をしてもらちが明かないので、これ以上の深追いはやめておく。

兎に角、それ以来、我々担任団は外務省のホームページを常にチェックし、実施できるかどうかの情報収集をしていくこととなった。そして、万が一の様々なケース、しかも最悪の事態を想定しシミュレーションをしていった。加えて、動揺する生徒や保護者への対応も想定外の仕事となっていった。

そして、ある時期を過ぎた頃から、校長と我々学年団は何としてでも実施するという方向に強く傾いていった。学年内で誰一人として、止めようなどということを口にする者はいなかった。

それどころか、外野の不安が募れば募るほど、学年担任団の皆が、何としてでもこの修学旅行は成功させなければならない、という気持ちで〝結束〟していくのを感じた。こうして、様々な障害を乗り越えながらも、担任団が一致団結して準備は進められていった。