夏季伝法会口伝
次の年の夏、伝法会二回生として参加した場所は京都三条の新しい道場で行われた。
二回生のときは四度加行の講義がメインで行われた。この年伝法会Dコースのご奉仕に参加させてもらった。ご奉仕中にラマ教の悪魔払いの修法を、開け放たれた廊下から拝見させていただく機会に恵まれた。
リンポウチェという人が修法し総勢二十人位もいただろうか、雅やかな音楽にも聞こえた。あくる日、リンポウチェ師の声明文が読みあげられた。
あらゆる界に管長のミイズが行きわたり、尊称と装束を贈るという内容であった。一切万霊守護金剛という尊称が発表された。後日赤いマントを纏った写真が、ロビーに飾られた。原稿用紙に和訳で書かれた経文が配られた。
その場で一回素読みをしたが毎度の如く気がつかなかった。
家でもう一度読み返してみると大変なことが書いてある。
彼の比丘は終に漏尽解脱を得ること能わず所以は何ん。修習せざるが故なり、何等か修習せざる。謂ゆる念処・正勤・如意足・根・力・覚・道を修習せざるなり。仏教の目的は解脱することだと思っている。
何事にも捉われない境界に住することだと思っている。
此の経では明確に解脱できないといっているのである。
これまで巡り合ってきた人たち、真生吹のお婆さん、苦しいときに助けてくれたお不動さん。こういった人たちまで解脱できないというのだろうか、修行法らしきことまで書いている。乏しい知識で悩むよりも、いずれ例祭で管長から応説教の講義があるだろうと思いそれまで待とう。待つしかなかった。
次の月の例祭から講義が始まった。長い年月いろんな経典を読み誰からも顧みられなかった、法華経が一番尊く一番低い教えとされていた阿含経の中から是を見つけて、成仏法は是以外に無しとして阿含宗立宗を決意したと話された。念処・正勤・如意足・根・力・覚・道……、細かくは書けないが、七科三十七道品という。霊友会の本の中で八正道が出てくるが、各宗派にも部分的には伝わっているのかなと感じ少し安心した。