南イタリア幻想

懐かしい地中海

君よ知るや南の島

南欧は地中海にひたされている。シチリアとイタリア半島南部はその真ん中に存在している。それ故に四方の海運の接点として、いろいろな民族の征服侵略の巷となった。そして定住者が増え、当然の如く、混血が進んだ。一種奇妙なグローバル世界があるだろうし、エキゾチックなムードもあるだろう。行ってみたくなった。

二〇〇三年九月十八日名古屋空港発のイタリアツアー・チャーター便の中にシチリア・南イタリアの旅があるとJTBで聞いて、早速申し込んだ。

ヴォラーレ(飛ぶ)、イタリア航空午後三時発はエアバスで三〇〇人の定員が満員だった。その中で我々のツアーは二十五人で、男性五人に対し女性が二十人という女性優位である。ミラノへ一泊し簡単な市内観光後、シチリア島の北海岸パレルモ行きの国内空港で一時間半。ローマ上空までは陸の上、そこから先は海の上。奇々怪々な岩山が見え、旅心をそそるなかパレルモ空港着。奇怪な山は第一次ポエニ戦役中のBC二四七年にカルタゴの司令官ハミルカル(有名なハンニバルの父親)が司令部を置いたモンテ・ペレグリンという。海岸道路はシュロ、ソテツ、ヤシの並木で南国情緒たっぷりであり、ここは欧州なのかと疑うほどである。

昼食は珍味カラスミ入りのパスタ。食事はやはりいわゆるイタメシである。今、ヨーロッパ旅行で最も人気のある国はこのイタリアで、特に女性には大受けだという。明るい南国、買い物天国。判らぬではないが、この国は伝統が古い。遺跡などは超大物が揃っている。どんどん見るといろいろなことが判ってくる。

特にシチリアは歴史が複雑で、次から次へと侵入してくる周辺諸国に翻弄されてきたのである。地中海の十字路なので、同じ島国といっても日本とは比較にならないのだ。ここでシチリアの歴史を概観してみよう。